EX/ECドメインのメモ

カテゴリー: CDISCラボ

SDTM1.4で収載予定のExposureドメインの改定案についてのメモを作成しました。

背景
EXドメインには致命的ともいえる不具合がいくつかあります。例えば、以下のようなものです。

・Double Blind Studyでは、CRF上に薬剤名を記載できない。EXドメインではEXTRT変数に薬剤名を明記する必要がある。このため、「CRF上に記載された情報」を格納する変数がなくなる
・服薬しなかった情報(とその理由)を記述できない
・実際の服薬状況を記述することはできる。しかし、予定していた投与量・投与方法について記述できない

これらの不都合を解消するために、Exposureドメインの改定が行われます。


概要
ECという新ドメインが追加されます。ECドメインとEXドメインは役割が異なります。双方が補完しあうことで、上記の問題を解決します。この変更に伴い、いくつかの変数が追加されました。これと合わせて、EXドメインの使用上のその他の不具合報告・疑問点を解消するためにいくつかのルールが追加設定されます。


一般的な注意事項
ECドメインは、CRF上のデータを格納します。そのため、データ行の作成で悩むポイントは限られます。ここでは、CRF上のデータをSDTMデータセットへ正確にマッピングすることが重要です。一方で、EXドメインはデータ作成にかなりの自由度が与えられています。重要なのは、解析に適切か・レビューに適切か…という観点です。必要に応じて加工が要求されます。連続した投与期間を1行で表現してもよいでしょう。毎回の投与情報を細かくデータ行として記述しても構いません。プラセボに対してEXドメイン上にデータを発生させない選択もあります。多くの選択肢の中から何を選ぶかはスポンサー次第です。


EXドメインについて
この変更の結果、EXドメインはDerived Datasetになります。また、EXドメインに"服薬しなかった記録"を含められるようになります。

EXドメインは必ず作成されるべきドメインです。ただし、試験途中でデータを提出する場合はこの限りではありません。Blinding Statusの保持という理由で、EXドメインが作成できないからです。

EXDOS変数には有効成分の量が入ります。例えば、50mg/錠 x 5錠なら250mgとなります。プラセボの場合には 0mg/錠 とみなせます。EXDOS変数の値を導くためには、複数の情報源が必要でしょう。例えば、投与情報と無作為化の結果などです。EXDOS変数の内容は計算より得られます。計算方法の詳細をDefine.XMLに記述します。
ECドメインとEXドメインの内容はリンクしています。このリンクを示すために、--LNKID変数を利用します。この変数に同じ値を入れておき、RELRECドメインで関連性を指定することが推奨されています。

EXDOSU変数にはProtocolで規定した単位が入ります。これは重要な規定です。なぜならば、SDTMのReviewerはProtocolを元にしてデータをレビューするからです。"20 mg/kg"の投与量を目的としている試験で、EXドメインの内容が1200mgとなっている場合を考えてみてください。この事例では、Reviewerが体重を元に再計算をしなければなりません。このような状態は望ましいものではありません。

EXOCCUR変数へ「N」という値を設定し、投与がなかったことを示します。

EXMOOD変数には「SCHEDULED」か「PERFORMED」のいずれかの値を設定します。これは投与が予定されたものか、実際のものかを示します。この変数の利用は任意(Permissible)です。しかし、使う場合には、全てのレコードに値を設定しなければなりません。欠損値は許されません。

EXMOOD変数を利用する場合、レコードの生成に注意が必要です。

予定:200mgを皮下注射(右腕・左腕は任意)
実際:200mgを皮下注射(右腕)

EXMOODEXODSEXDOSUEXROUTEEXLOCEXLAT
SCHEDULED200mgSCARM.
PERFORMED200mgSCARMLEFT

EXLAT変数に値があるのは、実際のデータのみです。なぜならば、計画の段階ではEXLATの値を決めようがないからです。


ECドメインについて
ECは、Exposure as Collectedの略です。CRF上で収集された薬剤投与状況の情報が格納されます。Open試験では、ECドメインとEXドメインの内容が完全に重複するかもしれません。このような場合、ECドメインの作成は不要です。類似の情報は、DAドメインで収集されるかもしれません。EXドメインが必須ですから、必要に応じてDAドメインやECドメインが追加されます。

ECTRTはCRF上に表示されている治療名です。実際の治療内容とは限りません。例えば、「錠剤A」「錠剤B」といった識別子です。また「MASKED」という値を利用する方法もあります。「MASKED」は、データ提出時点ではマスキングされているけれど、最終的には詳細が明らかになることを示します。

ECMOOD変数には「SCHEDULED」か「PERFORMED」のいずれかの値を設定します。これは投与が予定されたものか、実際のものかを示します。この変数の利用は任意(Permissible)です。しかし、使う場合には、全てのレコードに値を設定しなければなりません。欠損値は許されません。

ECドメインに限り、薬剤濃度を示すECPSTRG変数、ECPSTRGU変数があります。例えば20mg/dLなら、ECPSTRG=20, ECSTRGU=mg/dLです。EXドメインを作成する場合、薬剤濃度と摂取量を考慮した上で投与量が計算されます。したがって、--PSTRG変数, --PSTRGU変数はEXドメインには不要です。


最後に
EX/ECドメインの規格はドラフト版がリリースされ、Public Reviewが終了した段階にあります。ここで紹介した内容は、最終的な仕様ではありません。
前ページ | | 次ページ











管理者にだけ表示を許可する
http://doubledealer989.blog74.fc2.com/tb.php/1021-2d8c7dd1