Representing Relative Time ~ 相対時間を表現する

カテゴリー: CDISCラボ

SDTMで相対時間を表現する方法

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臨床試験データには開始時点と終了時点が存在する。例えば、既往歴の「発現日」と「消失日」といった具合だ。これらの時点を絶対値(2014年9月9日)で指定することができる。しかし、異常ともいえる確率で、臨床データには欠損値が発生する。その結果、時点を絶対値で表現できないこともある。

絶対値で表現できない時点を処理する方法は2つある。不明なまま記述する方法(2014-09---)と、ある時点からの相対的な時系列で表現する方法(2014年10月01日以前)である。ここでは、後者の表現方法について触れる。



相対時間を示すには、アンカーポイントと時系列関係を示す変数が必要となる。SDTMには2つのアンカーポイントがある。一つはRFSTDTC/RFENDTCで示される区間である。もう一つは、任意の時点を指定する方法だ。

『RFSTDTC/RFENDTCで示される区間』をアンカーポイントにした場合、--STRF変数と--ENRF変数が時系列関係を示す。以下に例を示そう。

 ある事象の開始時点が『RFSTDTC/RFENDTCで示される区間』の前 → --STRF=BEFORE
 ある事象の終了時点が『RFSTDTC/RFENDTCで示される区間』の前 → --ENRF=BEFORE

--STRF/--ENRF変数にはTerminologyが指定されている。具体的には以下の値が許容されている。

 BEFORE, DURING, DURING/AFTER, AFTER, COINCIDENT, ONGOING, U



任意の時点を指定する場合、アンカーポイントそのものを取り扱う変数が必要になる。--STTPT/--ENTPT変数が、アンカーポイント情報を格納する。--STRTPT/--ENRTPT変数が時系列関係を取り扱う。

 ある事象の開始時点がXの前 → --STTPT=X --STRTPT=BEFORE
 ある事象の終了時点がYの前 → --ENTPT=Y --ENRTPT=BEFORE

--STRTPT/--ENRTPT変数にはTerminologyが指定されている。この指定が複雑である。任意のアンカーポイントを選択できるため『アンカーポイント』と『データを収集するタイミング』が一致しないことがあるからだ。次の事例を考えてみよう。

例1)『投与終了時点』にその時の状況を記載する
 →これは、アンカーポイントとデータ収集タイミングが同期している

例2)『投与終了時点』の状況を『最終報告時』に記載する
 →これは、アンカーポイントとデータ収集タイミングがズレている

上記の状況を踏まえ、具体的には以下の値が許容されている。

同期パターン:
 --STRTPT: BEFORE, COINCIDENT, U
 --ENRTPT: BEFORE, COINCIDENT, U, ONGOING

非同期パターン:
 --STRTPT: AFTER, BEFORE, COINCIDENT, U
 --ENRTPT: AFTER, BEFORE, COINCIDENT, U, ONGOING



さて、ここまでがSDTMの教科書である。ここから当サークルの拡張解釈を展開する。

1. --STRF/--ENRF変数は無用の長物
賢明な読者は既に『あること』に気づいているかもしれない。『任意の時点を指定』できるなら、この方法でRFSTDTC/RFENDTC区間を表現できそうである。実際にその通りである。当のCDISCもこのことに気づいており、--STRF/--ENRF変数は将来的に廃止される予定である。


2. DURING, DURING/AFTER
もし、--STRF/--ENRF変数が廃止されるなら、この2つのTerminologyは存在意義がなくなる。なぜならば、これらのTerminologyは--STRF/--ENRF変数でのみ利用できるからだ。


3. ISO-8601は期間を表現できる
ISO-8601形式の表現力に注目してみよう。ISO-8601形式では、特定の期間を取り扱える。例えば、2014-01-01/2014-02-03とすれば、『1月1日~2月3日』までの期間となる。これを--STTPT/--ENTPT変数に格納できる(なぜならば、ISO-8601形式だからだ)。この時、--STRTPT/--ENRTPT変数にDURING, DURING/AFTERというTerminologyを設定しても何ら矛盾が生じない。


4. SDTM 1.4の仕様は完璧か?
以上の議論から、当サークルは『現在のSDTM IGの定義は実際的ではあるけれど、理論的に可能な解釈・実装を網羅していない』と考えている。例えば、期間表現を用いたときに--STRTPT/--ENRTPT変数にDURING, DURING/AFTERを利用できる……という可能性や、--STRF/--ENRF変数廃止とTerminologyの整合性が考慮されない可能性……がカバーしきれない、ということだ。こういった変則的手法は、特定の場合に有効であるかもしれない。頭の隅に入れておくべきアイデアであると当サークルは考えている。
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