メタデータリポジトリの役割と選択

カテゴリー: CDISCラボ

本ブログではかなり昔にメタデータリポジトリについて取り上げたことがある。幸いにも何名かの方にツイートしていただいた模様(この記事を取り上げるだけの感度が凄い)。あれから月日が経過し、メタデータリポジトリが具体的な姿を見せ始めている。

最近の動向を鑑みると、臨床試験データのメタデータリポジトリは一つの塊ではないようだ。実際的(実務的)には複数のレイヤーから構成されているようだ。

1. 概念層
臨床試験データ向けのメタデータリポジトリの上位には、概念的なデータモデルが存在する。SDTMやADaMがそれに当る。メタデータ化されたCDISC SHAREが、これに相当するだろう。

2. ライブラリ層
概念はあくまで概念に過ぎない。実運用を考えると具体的なインスタンスが欲しくなる。分かりやすく言えば、組織ごとの「ライブラリ」や「標準」と言えるものだ。これは概念層とコンセプトを同じにするか、概念層へのアダプタになる。

3. 実装層
個々の臨床試験へ適用されるメタデータである。具体的にはDefine.XMLで表現されたメタデータになる。実運用的にはライブラリ層から派生(オブジェクト指向的に言えば、継承)することになる。

注:OSI参照モデル的に言えば、どのレイヤーも『アプリケーション層』か『プレゼンテーション層』くらいの位置にあると思われる。

これらの3つの層のメタデータには、それぞれの利用価値がある。

概念層はCDISCが提唱する標準を機械処理できる形で提供できるようにする。各組織で自動アップデートに利用されるかもしれないし、臨床試験の周囲の世界……例えば、医療現場・EHR・ビッグデータ……とのデータ結合の礎石になるかもしれない。将来的には何らかの人工知能(か、それ的な何か)による処理をされるかもしれない。

ライブラリ層は組織内で統一的なメタデータ利用を保証する上で大いに役立つだろう。また実装を高速化したり、ノウハウを蓄積する場としても機能する。

実装層のメタデータは、もっと細やかな場面で役に立つ。例えば、Define.XMLは当局のレビューツールを効率よく機能させるだろう。Define.XMLを先に作成しておき、それをベースにEDCを構築したり、特定の試験におけるEHRとの連携を可能にする情報としても利用できる。試験間の差異を比較するために用いることもできるだろう。


以上のことから、組織内でメタデータリポジトリを構築したいなら『その目的』を確定させておくことが大切になる。そして、目的に合ったレベルでメタデータリポジトリのソフトウェアを選択するとよいだろう。現時点ではいくつかのベンダーが優れたサービスを提供している。そして、それぞれに強み・弱みがある。自身に合ったサービスを知るためには、自分たちが実現したいビジョンを明確にしておくことが肝要だ。
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